虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary


MSCI指数について少し・・・ 執筆日 : 2003/05/31


 先週末(5月30日)の相場で、大引け間際に日本を代表するような銘柄が急上昇したり、急落したりしました。中には、ザラ場であまりにも上下し過ぎて「板」がなくなってしまい、ザラ場引けした銘柄も、かなりありました(結構珍しい現象)。
 新聞などの"相場解説"では、分かったような、分からないような説明がありましたが、個人的には、MSCI定例リバランスの影響が非常に大きかったと考えています。それについて全て書くのは「本が一冊書けてしまう」ので(^^;、「MSCI指数とは一体何?」というところだけ、少しだけ書いてみます。

● あんまり仰々しくやるのは好きではないし、実際問題、私にMSCI指数の影響について、全てを書く能力もありません。しかし、先週末のMSCI定例リバランスについて、いくつか質問を頂いたこともあり、若干だけMSCI指数について書きます。

● 詳細は、MSCIのホーム-ページ (http://www.msci.com/) に掲載してありますが、MSCIもビジネスでやっているわけで、知りたい情報全てが無料で掲載されているワケではありません。でも、インターネットのおかげで、無料でもかなりの情報が取れるようになってきたのも事実。今回のこの文章も、MSCIのサイトから無料で入手できる情報を基にしています。

● まず最初に、MSCI Japanに含まれている銘柄とウェイトを少し見てみましょう。下の表は、MSCIのホームページから取ってきたファイルを整形したもので、MSCI Japanのウェイト上位50銘柄を掲載しています。全部では、314銘柄あり、今回の定例リバランスでREITが2銘柄新規採用されたのは、皆さん、周知の通りです。

MSCI Japan
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Code

Ex

銘柄名

終値 5/30

指数算入株数

ウェイト%

1 7203 T トヨタ自動車 2860 2,707,498,119.00 5.84
2 9437 T NTTドコモ 251000 17,563,000.00 3.33
3 7751 T キヤノン 5000 835,179,431.80 3.15
4 4502 T 武田薬品工業 4690 844,808,400.00 2.99
5 7267 T ホンダ 4310 779,531,200.00 2.53
6 6758 T ソニー 3180 876,262,161.85 2.10
7 9501 T 東京電力 2415 1,149,936,950.00 2.10
8 7201 T 日産自動車 943 2,484,492,840.50 1.77
9 6752 T 松下電器産業 1088 2,085,262,562.90 1.71
10 9432 T 日本電信電話 412000 5,324,414.70 1.65
11 8604 T 野村ホールディングス 1215 1,769,327,874.00 1.62
12 9020 T 東日本旅客鉄道 575000 3,400,000.00 1.47
13 8306 T 三菱東京フィナンシャル 450000 4,005,603.55 1.36
14 4901 T 富士写真フイルム 3310 463,162,500.00 1.16
15 9502 T 中部電力 2365 626,328,608.95 1.12
16 6501 T 日立製作所 466 2,862,905,643.10 1.01
17 6963 OS ローム 12340 106,895,273.40 1.00
18 4063 T 信越化学工業 3660 359,178,290.75 0.99
19 9503 T 関西電力 1950 673,889,109.60 0.99
20 8766 T ミレアホールディングス 865000 1,485,638.40 0.97
21 8183 T セブン‐イレブン・ジャパン 2990 411,444,992.00 0.93
22 4452 T 花王 2200 539,499,330.90 0.90
23 6753 T シャープ 1315 888,559,909.60 0.88
24 7752 T リコー 1780 618,485,765.20 0.83
25 6981 OS 村田製作所 4630 232,050,412.40 0.81
26 6971 T 京セラ 6430 162,612,896.50 0.79
27 8264 T イトーヨーカ堂 2910 355,910,032.25 0.78
28 5108 T ブリヂストン 1550 645,939,195.75 0.76
29 6502 T 東芝 363 2,736,173,090.25 0.75
30 4503 T 山之内製薬 3220 307,033,999.50 0.75
31 9531 T 東京ガス 374 2,529,154,165.50 0.71
32 7974 OS 任天堂 8870 99,168,300.00 0.66
33 7741 T HOYA 7520 110,317,800.00 0.63
34 6902 T デンソー 1686 486,237,792.15 0.62
35 9506 T 東北電力 1850 427,449,700.00 0.60
36 9508 T 九州電力 1899 403,055,550.00 0.58
37 8058 T 三菱商事 747 1,018,663,750.00 0.57
38 7912 T 大日本印刷 1232 607,584,000.00 0.56
39 8316 T 三井住友フィナンシャル 198000 3,767,400.65 0.56
40 5401 T 新日本製鐵 136 5,445,584,000.00 0.56
41 9022 T 東海旅客鉄道 822000 896,000.00 0.56
42 8035 T 東京エレクトロン 4930 149,339,464.80 0.56
43 7011 T 三菱重工業 255 2,867,599,950.00 0.55
44 9735 T セコム 3660 198,288,963.05 0.55
45 8802 T 三菱地所 731 974,388,750.00 0.54
46 6701 T NEC 492 1,407,827,960.65 0.52
47 8752 T 三井住友海上火災保険 538 1,257,909,904.25 0.51
48 6861 T キーエンス 21040 31,976,560.00 0.51
49 8267 T イオン 2875 231,863,832.90 0.50
50 9532 T 大阪ガス 329 2,013,659,808.15 0.50

Source: MSCI ホームページ (www.msci.com)

● で、まず何に気付きますか?一番明白なのは、日本で通常「時価総額ランキング」として使用されるTOPIXウェイトとの違いです。日本では、NTTドコモが一番時価総額が大きな銘柄として知られていますが、MSCI Japanでは、トヨタの方が圧倒的にウェイトが大きいのです。他にも、NTTが第10位だったりと、ずいぶんと違いが目に付きます。

● これは、MSCIが「浮動株基準(英語ではFree Floatという)」を使っているから。この背景には、Investable Weight(投資可能時価総額)という考え方があり、実際に投資できる部分について指数を計算しましょう、という方法です。端折って言えば、「持ち合いされていて流通しない株は、指数計算から省いてある」という事。つまり、NTTドコモはNTTが大量に保有している事で、その分だけ、時価総額計算から省いてある、って事です。浮動株基準は、既に世界の株価指数の趨勢になりつつあります。MSCIに続いて、FTも既に浮動株基準に移行しました。

● 日本でも、実は、S&P/TOPIX 150という指数は、この浮動株基準/投資可能時価総額の考え方で計算されているのですが、残念ながら、あまり馴染みのある指数とは言えません。東証のホームページ (http://www.tse.or.jp/topix/sptopix/machinery.html)に、この辺の計算方法や考え方、何を浮動株とみなすか、などについては日本語で説明してありますので、ご参考に。もちろん、MSCIと同じとは限らないのですが、全体の"風景"は感じて頂けると思います。

● 重要なのは、MSCIなんて、日経を見てもどこにも指数が掲載されていないのに、なぜそれほど日本の株式市場を突き動かすパワーがあるか?って事。日本の機関投資家は、8割以上(と勝手に言い切ってしまいますが、私個人の感触で、根拠はありません(^^;)が、TOPIXをベンチマークにして株式資産を運用しています。つまり、対TOPIXで勝った、負けた(アウトパフォームした、アンダーパフォームした)を評価しています。そのため、TOPIX算入プレイなどが発生し、東証2部-->東証1部昇格が「イベント」になるのです。

● 一方、私がNY勤務だった頃の経験からしても、海外投資家でTOPIXをベンチマークにしている投資家は、限りなくゼロに近い感じ。米国投資家の多くは、MSCIの数々の指数をベンチマークにしています。MSCI Japanはその一つですが、もっとポピュラーなのは、MSCI EAFE。EAFEは、全世界の株式市場から米国株式市場を除いた指数で、米国投資家にとっては、非常に資産運用のベンチマークとしてマッチしています(本国株式と"外国"株式という意味で・・・)。一方、欧州投資家の場合は、MSCIを使っている機関投資家もありますが、FT関連の指数をベンチマークにしている投資家も多く、米国ほど"圧倒的"という状況ではありません。

● このMSCI指数をベンチマークにしている資金が、全世界でどの程度存在するかですが、本当の所は私にも分かりません。でも、「かなり多い」というのは間違いなさそうです。何と言っても、世界の金融資産のかなりの部分を占める米国がMSCI主流なんですから・・・(^^;。そして、その巨大な資金が動けば、今のように流動性が落ちてしまった日本のマーケットでは、かなりのインパクトが出るのは、当然と言えば当然です。

● マーケットコメントの方にも書いた通り、5月30日終値で実施された定例リバランスでは、新規採用/削除銘柄にばかり市場の興味が行ってしまったようですが、実際には、ウェイト調整銘柄の方がはるかにインパクトが大きく出る結果になりました。特徴的だったのはトヨタ(大引け急上昇)とNTT(大引け急落)の2銘柄。通常のマーケットでは有り得ないような値動きでした(下図参照)。

トヨタ(7203)5月30日日中足

NTT(9432)5月30日日中足

 

出典:Yahoo!ファイナンス

● これは、トヨタの指数算入ウェイトが5月30日終値基準で上昇する事に合わせて、外国人投資家が買いを入れ、逆にNTTについては、同じく5月30日終値基準で指数算入ウェイトが下落する事に合わせて売った、というファンダメンタルズとは全く関係ない指数プレイ。他にも、ホンダ、日産などはウェイト上昇、ドコモはウェイト下落で、それぞれかなりの値動きをしました。通常の"相場解説"記事では、この辺まで書きませんからネ・・・(^^;。

● なお、MSCI指数の詳細な情報を入手するには、MSCIと契約する必要があります。ここに書いたものは、全てMSCIのホームページから誰でも取得できるデータに基づいています。もっと詳細な情報は、知っていたとしても、このホームページでは書けません。なお、MSCIのフィーはかなり「お高く」て、契約内容にもよるのですが、安いのでも年間ウン百万円、ちょっとまとまったり、契約内容次第では、あっさりとウン千万円になるそうです(^^;。個人投資家では絶対に無理ですし、国内証券会社でも、MSCIのライセンスをフルに取っているところは、それほど多くないはずです。

● これを「止むに止まれぬ心境」(^^;で書いている私にしても、決してMSCI指数のエクスパートではありません。皆さん、今後とも、情報交換を何卒よろしく!

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このホームページにて、ご発言のチャンスをご提供することを、お約束致します。

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