虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary


外国人投資家売買動向の不一致の謎、東証と財務省数値 執筆日 : 2000/10/10


 何度かマーケットコメントの方でも書きましたが、最近、東証が発表する「投資部門別売買状況」と、財務省の発表する「対内及び対外証券投資の状況」の数値が大きく不一致するケースが増えています。
 外国人投資家の動向がマーケットに大きな影響を与える現状で、この不一致がなぜ発生するのか、どこがどう違うのかなど、謎が沢山あります。真相解明には程遠いのですが、まず今回は、問題提起です。

● とりたてて大騒ぎするほどの事はないかもしれませんが(^^;、再び東証発表の「投資部門別売買状況」と、財務省発表の「対内及び対外証券投資の状況」の数値が大きく不一致しています。この傾向は、実は9月に入ってから顕著になり、特にこの数週間は、市場関係者の間で話題になるほどになっています。今回は、本日発表されたばかりの数値について書きます。対象は9月30日〜10月4日までの一週間です。

● まず最初にクイズ。皆さんは、下記のうち、どちらの数値が正しいと感じますか?上記の通り、対象は先週、9月30日〜10月4日までの一週間です。

(1) 「先週、外国人投資家は、日本株を1198億円売り越した
(2) 「先週、外国人投資家は、日本株を4764億円買い越した

● 実は、どちらも「正しい」のです。でも、株式市場関係者なら、間違いなく(1)を正解と答えると思います。なによりも、(2)に関して、「買い越し?売り買い間違いちゃうんか?」と感じるのが普通でしょう。毎日相場を見ていてもそう感じるし、大体、ここ最近、毎日の寄付き前外資系証券売買動向を見ていても、「買い越し」なんて言葉は、もう辞書から消え去ってしまいました・・・(^^;。

● ネタを明かすと、(1)は東証発表の数字(東証・大証・名証の三市場合計)で、(2)は財務省発表の数字です。ネット上でもこれらの数字は取得できます。東証は http://www.tse.or.jp/data/exotic/sector/index.htmlで、財務省は http://www.mof.go.jp/shoutou/week02.htmです。

● 問題はなぜこれだけ大きく数字にブレが出てくるかです。ここ最近、個人的に興味も持っているので、色々な筋に聞いているのですが、

(1) 集計対象になっている証券数が違う
(2) 集計対象市場が違う

が主な原因の様子。

● ただ、それを含んでも、どうも財務省の数字は、「体感温度」と一致しないのが正直なところ。別に間違っていると言うつもりはないのですが、単純に「体感温度」と合わないのです。単なる統計上の数値というだけではなく、このズレは、実は意外に大事かもしれないのです。だって、財務省の数字って、予算やら何らかの企画立案の時に基礎になる数字でしょ。これほど実感と離れている数字がその「基礎」になっているというのも、背景が分からないと、どうも寝心地が悪いような気がして・・・。

● 両方の違いについて、もう少し・・・。色々な筋の話を総合すると、(1)の東証の数字は、67社からの報告。一方、財務省は160社からの報告となっています。ただ、東証の資料によると、この67社データで取引所関連の売買の約90%弱を把握しています。これは、市場全体の売買代金と、報告ベースの売買代金の合計から算出できます。常識的に考えても、報告会社数は少なくても、大手どころはどちらにも入っているでしょうから、数十億円の違いは別にして、数千億円の差が出るとは考えにくいのです。

● (2)の市場の違いについて。東証の数字は、東証・大証・名証における立会内・立会外を含んでいるものの、市場外取引は含みません。市場外取引での取引は確かに結構な量があるのですが、「通常の売買」では、数千億円もの差異は発生しないはず。ただ、市場外取引においては、例えば「ファンドの移管」や「M&A案件」などに伴う外国人投資家売買がかなりの規模で発生する可能性はあります。

● 実は、先週までは、東証も財務省も外国人投資家は売り越しだったのですが、財務省の数値が極端に大きい状態だったのです。参考までに、先週は、東証発表数字だと1794億円の売り越し、財務省発表数字は4255億円の売り越し。先々週は東証数字が298億円の売り越し、財務省数字が4240億円の売り越し(改定値)と、いずれも「単なる集計元の違い」だけでは、説明しにくいほどの差異がありました。

● 外国人投資家がいずれも売り越しという点から、想像力を豊かにして、私が一番最初に考えたのはLPSなどの償還。LPSは、国内年金資金がかつて「固定手数料」だった時代に、手数料割引手段の一つとして(それだけが目的ではなかったけど、大きな目的の一つだった)、設立したものです。これらは、元々は日本国内投資家の資金ですが、海外に設立されているため、東証でも財務省でも外国人投資家として出てきます。業界用語では、こういった投資家を「黒い目の外国人投資家」という言い方をしていました。

● ところが、既に固定手数料時代は終了し、今は「仁義無き手数料割引」の時代(^^;ですから、LPSのお役目は終了。で、償還がある場合(もしくは国内への移管がある場合)には、「外国人投資家売り・国内機関投資家買い」という風になります。大体において、こういった取引は市場外取引で実施されますので(取引所を経由するメリットがほとんどない)、そこでは、東証数字で把握されないで、財務省数字では出てくると言う事が有り得ます。

● しかし、今週は財務省数字がものすごく買い越しになっています。これを再び想像力を増して考えると、海外企業が日本企業を買収するケースなど、第三者割当増資があれば、それは取引所を経由しないので、「外国人投資家買い」として、財務省数字では出てくる可能性が有り得ます。

● ただ、マーケットに非常に近い所にいる関係者として、「先週の外国人は、日本株を4764億円買い越した」というのは、どう考えても納得できない数字。そんなに大規模のM&A案件はなかったと思うし・・・。ファンドの移管は可能性あるけれど、それだと常識的に考えると、売り買いが逆になるはず。いずれにしろ、マーケットにインパクトを与えるような取引(クロス商いではない取引)としては、非常に考えにくいのです。

● 単純に日経平均で見て、9月27日終値(対象期間の前日)は9530.44円。先週末終値は9027.55円。まぁ、ちょっと訳が分かりません。財務省の資料には、対内・対外証券投資だけが出ていて、内内証券投資というのが無い為、国内投資家の日本株売買動向は一切不明。

● 少し違った観点からみてみましょう。財務省は9月1ヶ月の数値も発表しています。それによると、9月の1ヶ月では、外国人投資家は1兆2127億円の売り越しになっています。各週の売り越し・買い越しを集計して、月次の数字から逆算すると、9月30日の1日で、外国人投資家は1829億円、日本株を買い越した計算になります。実際問題、そんな商い、ありましたっけ?少なくとも、市場を見ている限りでは、そういう「買い圧力」は全く感じなかった様に記憶していますけど・・・(^^;。参考に、当日の日経平均は前日比147.15円安の9383.29円で引けています。当日の売買代金は5500億円弱(東証1部)でした。

● 9月30日〜10月4日までの一週間の「外国人投資家買い越し」を無理矢理説明する為に、さらに想像力を思いっきり豊かにワイルドにしてみると、

(1) どこかのオーナー社長が海外に設立したペーパーカンパニーに持ち株を移動させた
(2) 国内で保有していた拠出されたETFのポジションが海外に移管された

なんてのは如何でしょうか?(^^; (^^; これだったら、かなりの金額が「外国人投資家買い」になりますよね!

● いずれにしろ、非常に謎です。同じ主体を相手に統計取っていて、なんでこんなに数字に大きな差異が発生するのか・・・。誰か真剣になぞ解きしてもらえませんかねぇ〜(^^;。

 

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