虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary


マーケット・コメントを再開する前に…


US Flag US Flag My thoughts and prayers are with all those who were affected by the tragic terrorist attack of September 11, 2001 - New York City, Washington D.C. and Pennsylvania.


 9月末にマーケット・コメントとして書いた文章です。後から読み返しても、かなり強い書き方をしたとは感じますが、今でも、気持ちは全く変わりません。あの惨劇と、その時自分で何を考えたかを残しておきたい事もあり、ここに再掲載する事にしました。

● 皆様には、色々とご心配を掛けました。お知らせにも記載した通り、9月第1週から東京出張とその後の休暇のために日本に帰国しており、9月11日のテロ惨事の現場には居合わせる事はありませんでした。9月5日夕方に東京着。米国への帰国予定は14日の予定だったのですが、結局、9月17日にNYCに戻りました。両親などにとっては、私が日本に居たのは安心する材料だったのは確か。しかし、「幸いにも…」とは、どれだけ考えても、到底言える気分にありません。

● NYCは私が大好きな都市。今回のアサインメントだけでも、既に約1年半以上もNYCに滞在しているのですが、NYCは今でも私にとって憧れの都市です。普段は色々と問題がある街ですし、東京と比較すると、かなり汚い所もあるし、正直言って、住みにくい面もあります。それでも、この街にあるエネルギー、元気、そして、全ての雑多なものを受け入れて、その上で成長する姿は、いくら望んでも日本では決して望めない姿だとも感じるのです。

● 私は、米国の大学・大学院を卒業した事もあって、米国の"気持ち"、気質、考え方は良く分かっているつもりです。それだけに、今回のテロ行為については、一般人のレベルでだけ考えても、そのショック、悲しみ、憤り、怒りなどが本当に直接的に私自身に響いて来ます。特に、直後に救出の為に駆け上がって行って、ビル崩壊に巻き込まれて行方不明(現実には殉職)になった消防士や警察の方々のことを考えると、本当にやり切れない思いになります。

● 今回のテロ行為について、こうやって自分で何か文章を書く気になるまでに、これだけ時間が掛かってしまいました。自分でも少し驚いたのが本当の本音です。ここまで精神的に痛めつけられるとは考えてもいませんでした。この気持ちは、日本にいらっしゃる方々にとっては、理解し難いかもしれませんが、これが本当に正直なところです。

● その一方で、いざと言うときの米国人の団結力とまとまりには本当に感動します。この約1週間、NYでは殺人事件が起きていない、という事だけでも、それがわかります。国旗がそこら中に掲揚され、国歌はもとより、"God Bless America"、"America Beautiful"といった歌があちこちで歌われ、そしてその元で一つにまとまる姿は、素直に感動させられます。同時に、国旗や君が代に"異常"とも思える忌避を示す日本を見ている私個人としては、ある意味、大変羨ましい思いをさせられているのも事実。

● もちろん、こういった書き方をすると、抵抗を感じる方々がいらっしゃる事は自覚しています。しかし、自分の国の国旗や国歌に対して忌避反応を当然とするような風潮は、正直言って悲しくあり情けなくもあります。今の日本人が、自分の国に対して誇りを持てなくなっているのが本当だとしたら、それこそ本当の悲劇です。

● 米国は移民で成り立っている国。当然、普段は色々な問題が山積しています。人種差別もそうですし、資産階級的な差別もあります。NYCに居ると意外に感じる事は少ないのですが、まだ地方に行くと、かなり感じます。ただ、そうであっても、こういう一大事においては、一致団結する姿は、やはり賞賛に値すると考えています。

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● 日本政府に対して苦言。日本政府は動きが遅すぎます。対応が遅すぎます。何も今に始まった事ではないのですが、日本の経済が米国にどれだけ依存しているかだけを考えても(軍事的、政治的な事を除いて考えたとしても)、日本が米国と方向性を一致させる必要があるのは、誰がどう見ても当然の事。それなのに、日本の首長からの肉声の表現が1日も経過してからだったり、外務大臣が米国国務省長官と直接話が出来なかったりというのは、国家としての何かが大きく欠落しているとしか思えません。

● 19日にはフランスのシラク大統領が米国を訪れ、20日には英国のブレア首相が米国を訪れました。他にも、私がニュースなどで見聞きした範囲内でも、インドネシアのメガワティ大統領が20日に米国を訪問し、ブッシュ大統領と会談しています。インドネシアは非アラブ圏のイスラム教国家として、重要な位置を占める国とは言え、G8国家ではないのです。さらに、きょう21日は、中国の外務大臣(?)とブッシュ大統領が会談しています。小泉首相は、ようやく24日に渡米し、25日にブッシュ大統領と会談する事を決めたようですが、あまりにも遅いと感じざるを得ません。

● 昨晩(20日)のブッシュ大統領の演説でも、私はもしかしたら日本が同盟国として名前が出てこないのではないか、と内心恐れていました。ホンの一言だけ"Japan"という言葉が出たものの(行方不明者が含まれている国として)、扱いは例えば韓国と比較しても非常に少ない状態でした。

● ブッシュ大統領は、演説の中で、"Every nation, in every region, now has a decision to make. Either you are with us, or you are with the terrorists."と述べたのです。これは"踏み絵"に他なりません。ここで"報復"戦争が始まるかどうかを中心に報道している日本のメディアは、この言葉をどれだけ真剣に受け止めているのでしょうか。また、日本政府は、この言葉をどれだけ真剣に受け止めているのでしょうか。

● 極端な話、ここでの政策が今後の日本の世界における地位を決定付ける可能性が高いと考えています。対米関係だけではありません。世界における日本の位置付けを決定付ける、という意味です。それだけ大きな事態である事を、日本の政府そして、官僚がきちんと認識している事を祈るのみです。もし、ここでのステップを間違うならば、日本がG8国家である日々は、そんなに長くないのかもしれません。

● なお、20日晩のブッシュ大統領演説内容は、ホワイトハウスのホームページ、 http://www.whitehouse.gov/news/releases/2001/09/20010920-8.html に全文掲載されています。英語ですが、一読する価値はあります。

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● 日本のマスコミ論調で特に目立つように感じるのが、「戦争は悪」という論調。もちろん、"仕掛ける"戦争は悪であることは確かです。誰もこういった戦争などしたくないし、出来る限り避けるのは当然。ただ、これらを全く区別せずに、単に「戦争は悪」という論調の背景には、日本がかつて侵略戦争の当事者だった事が大きく影響しているのは間違いありません。

● しかし、戦争を仕掛けられた時に同じ事を言い続けるのは、あまりにもナイーブな反応だと思います。日本語でナイーブというと、"繊細"という良い意味に捉えるかもしれませんが、ナイーブの本当の意味は"弱虫"とか"腰抜け"とか、とにかく現実を直視しない(出来ない)情けない向きを指す言葉です。

● 今回のテロは、戦争を仕掛けられたのです。そうとしか言い様がありません。しかも、軍人対軍人の戦争ではありません。合計で6000人超もの一般市民がホンの瞬間に殺戮されたのです。これを戦争と言わずして、何を戦争というのでしょうか。遠くの地に居ると、今回の惨劇の実感が沸かないと思います。それも当然かもしれませんが、事実だけを見つめてみると、これが戦争と解釈されるのは、至極自然だし当然だと感じます。

● 「自由」と言うのは、タダで与えられる物ではないのです。勝ち取らなければいけないのです。米国は特にこの考え方が強いのですが、多分、世界どの国に行っても、この考え方は強く支持されると思います。残念ながら、日本はこの考えが希薄だと感じられてなりません。島国だからそうなのか、それとも、第二次世界大戦以降に米国の傘の下で、あまりにも"安易に自由を与えられ過ぎた"からなのか、私には良く分からないのですが…。

● 「自由」を勝ち取るには、当然、それなりの犠牲が伴います。それは人命かもしれないし、資金的なものかもしれないし、場合によっては、空港の検査などによるプライバシーの制限かもしれません。でも、「自由」はタダではなく勝ち取るものであるという事を考えれば、これは当然の事なのです。その点がどうも分かっていないような"専門家"が知ったような顔をして登場するのは、不快感以外の何物でもありません。

● 「話し合いで解決すべき」と言うだけならば簡単。話し合いで解決出来れば、もちろん、それがベストの選択です。ただし、相手によります。

● そう発言する人々は、今回のテロを引き起こしたとされるテロ組織の考え方は、一体どう言うものか知っているのでしょうか?テレビやラジオを保有する事が法律違反で、女性に教育を与える事や仕事に就かせる事も法律違反。そんな考え方を持っている人々に、「戦争は悪だから止めましょう」と言って、まともな話し合いが出来ると思っているのでしょうか?それこそ"世間知らず"で"ナイーブ"としか言い様がありません。もし本当に話し合いをしたいのなら、勝手にそういった地域へ行って、勝手に話し合いをしてくれば良いのです。多分、二度と戻ってくる事はないと思いますけど…。

● 私から見れば、日本などで「話し合いで解決すべき」と発言している人々は、今回の件を「対岸の火事」と受け止めているから、としか考えられません。私はこの数日、ボランティアに行ってきました。もちろん、現在では"Ground Zero"地区は完全にプロフェッショナルの世界となっており、ボランティアが撤去作業をやっているのではありません。あくまでも周辺作業がボランティアの役目です。私は日本語がネイティブと言う事で登録し、いくつか通訳的な作業をしたりしました。それでも、あの被害の巨大さは、テレビなどで見るのと、実際に現場近くに行くのとでは全く違います。

● 「話し合いで解決すべき」と主張する人々が、もし自分の子供、両親、友人などがこの事件に巻き込まれていたら、果たして同じ事を言えるのでしょうか。米国は馬鹿ではありません。「話し合いで解決すべき」なのが第一の選択肢である事など、当然、分かっています。その手段が効果的な結果を生まないのが明白なので、次の選択肢を選ぼうとしているだけです。逆にこういった状況下で、「自由」を勝ち取る戦いを放棄する方が、私個人にとっては、はるかに問題だと感じられます。

● 「自由」を勝ち取る為のコスト。それを、本気で考えなくてはいけない時代になってしまったのです。残念ながら…。

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● 最後に私の個人的な状況をご報告。私達のBNPパリバのオフィスは、ミッドタウンにあります(7th Ave、51st & 52nd Street)。その為、今回のテロによる直接的な被害はありませんでした。WTCの"Ground Zero"現場からは、直線で約6-7qほど離れています。普段ならば、私達のオフィスからWTCまでは、地下鉄で約20分の距離になります。

● 既にご存知の通り、WTCには私達の顧客となるバイサイド機関投資家もかなりオフィスを構えていました。私が日本に出張になる前の週も、WTCで顧客とミーティングをやったばかりだったのです。8月末には、日本から来たアナリストを連れて、WTCの顧客先でミーティングをした事もありました。その会社は南棟(Two WTC)の94階にオフィスがありました。現在でも、この顧客とは全く連絡がつきません。

● WTCやその周辺では、米国の数多くの投資銀行など金融機関がオフィスを構えていました。ツインタワーの横の47階ビル(事件翌朝倒壊したビル)は、ソロモン・スミスバーニーのオフィスでしたし、WTCのすぐ横、ハドソン川寄りにはメリル・リンチの本拠がありました。リーマンのオフィスもWTCのビル群にありましたし、モルガン・スタンレーのリテール部門もWTCにオフィスがありました(本拠はタイムズ・スクゥエア)。これらの会社は、対岸のニュージャージーやマンハッタン内のホテルを借り切ったりして、順次業務を再開しているようです。

● 一方、私の住居は、アッパータウンにあるので、ダウンタウンの事件現場からはかなり離れています。ただ、17日に帰国してすぐに気付いたのは、街中から笑顔が消え、全体に雰囲気が変わってしまった事。物価などの点では、私が帰国した時には、既に落ち着いたものとなっており、目立った混乱は全く見受けられませんでした。ただ、直接的な被害を被っていない住人であっても、ニューヨーカーである事は違いなく、一様にショックを受けている事が分かります。それでも、ニューヨークのジュリアーニ市長が言うように、「一刻も早く平常の生活を取り戻す事が、何よりも復興に貢献する事になる」というのは、ニューヨーカーの、そしてアメリカという国家の強さを感じさせられます。

● 余談になりますが、ニューヨークのジュリアーニ市長は、今回の事件において、スーパーなリーダーシップを発揮し、文字通り先頭に立って事態に向かっています。この姿は、多くのニューヨーカーだけでなく、米国民に感銘を与えており、同氏の人気は急上昇。同氏は年末で任期が切れるのですが、もっと続けて欲しいとの声が急に高まってきており、本人はともかく、周りがうるさくなって来ているようです(^^;。

● 同氏は、これまでに離婚騒ぎがあったり、あまりにもストレートな政策に批判があったりしたのですが、この事態においては、ブッシュ大統領よりもリーダーシップを発揮している、との意見が増えているほどの敏腕を発揮しています。悲しみを表明するだけがリーダーではないのです。リーダーシップとは何なのか、本当の危機に直面したときに、どう行動すべきなのかなど、色々な示唆を与えてくれる姿だと感じさせられます。

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● 色々と書こうとは考えていたのですが、やはり普段の調子で文章を書くことが出来ません。構成もバラバラだし、文章そのものも、書いていて自分でおかしいと感じるほどです。でも、少しずつ建て直すNYCで、これからも頑張りたいと考えています。

上記コメントは、あくまでも筆者個人の意見であり、筆者の属する団体、企業などの意見とは一切関係ありません。

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