虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary
早期健全化法について感じること・・・
執筆日 : 1998/10/16
| きょう、「金融機能早期健全化緊急措置法案」(長い名前(^_^;)が、参議院で可決され成立、「法案」が「法律」として機能することとなった。金融機関の資本増強や特別公的管理のための公的資金枠を盛り込んで、既存の預金者保護枠と併せて、総額60兆円という莫大な金額が用意されたことになる。 この件については、すでに新聞、週刊誌、月刊誌、テレビなど、数々のマスコミで報道されているし、色々な見方も「見識者」という訳の分からない専門家によって分析されています。それに従うでもないのですが、私も自分勝手に意見をつらづらと書いてみたいと思いました。 |
● 私の仕事で、この早期健全化法に関連して、一番気になるのは、やはり銀行への公的資金注入と、それによる銀行の動きです。動きというのも、経営方針などといった悠長なものではなく、ストレートに株価の動向という面から捉えてしまう癖がついています。
● その公的資金の注入について、どうやら雰囲気は「建前任意、本音は強制」という状態になってきました。日本の社会では建前と本音の使い分けが出来て当然でしょうから、日本が日本だけで鎖国状態でビジネスをやっているのなら、多分これで良いのでしょう。でも、今の金融の世界は違います。発達した情報通信技術のおかげで、瞬間的にマネーは世界中を駆け巡り、ありとあらゆる材料を相場に織り込もうとします。だから、今回の措置については、外国人にも分かりやすい透明性を持たせないといけないのです。ところが、今回の措置のやり方は、どうも、この辺の解釈があいまいなまま、前に突き進もうとしているようで、不安感が拭い去れないのが正直なところでしょうか。
● 銀行に不快感/不満を持っている方々からすると、「何で税金使ってあいつら助けなあかんねん!」と怒る気持ちも分かります。でも、現状では自己資本比率8%超の優良銀行でも、公的資金の注入を言い出せば、社会的に経営者が責任追及されるのは明白。さらに、株式市場の立場からすると、個別に公的資金注入を言い出すことは、その銀行が「駄目銀行」と自分で認めてしまうことになります。当然、売り物に押される事になるでしょうし、場合によっては、売り標的にされてしまう危険性もあります。株式市場は「弱いものいじめ」がテーマ。弱みを見せた企業は、徹底して叩かれるのが常です。
● そのため、もうどうしようもない銀行は別にして、自分で何とか出来るだけ財務状況の良い銀行は、公的資金による自己資本拡充よりも、貸出回収による資産圧縮を目指すのは当然の行動です。簡単に言えば、資産圧縮とは貸出回収のことです。一度回収に動けば、もう二度と同じ先には貸出ししないと考えなくてはいけません。さらに、他行が回収に入ったとの情報が入れば、横並び意識もあって、自行も回収に動かざるを得なくなります。そうなれば、今にヒステリックに銀行批判を叫んでいる方々の勤め先の中からも、瞬間風速資金ショートで、事業は黒字なのに破綻する、という事が現実化するかもしれません。
● さらに、持ち株売却というのも資産圧縮の同意語です。株式市場にとっては、現在でもかなり深刻な「持ち合い解消売り」が、今後とも継続され加速する事を意味します。株式持合いというのは、当然ながら、お互いに相手があっての事。A銀行がB会社の株を売るということは、B会社もA銀行の株を売るという事です。つまり、A銀行が10億円の株式を処分するとすれば、B会社も同額を処分すると見て間違いありません。マーケットに圧し掛かる売り圧力は、銀行が処分する10億円だけではなく、合計の20億円になってしまうのです。
● こういった簡単な事を理解できない出来ない方もそうですが、理解してもらおうと国民に向けて話し掛けない首相も首相です。小淵首相が現在の邦銀の抱える不良債権の額を何度も言い間違えたことがニュースになりましたが、日本の金融システムを建て直すリーダーシップを担っている当人が、この程度の認識なのです。外国人投資家だけではなく、国内投資家からも信頼感を得られないのは、ある意味では当然かもしれません。すべてが狂っています。
● もっと生活に近いところから考えてみましょう。火事になった時、まず火を消そうとするのが当然です。消火してから、出火原因追求という順番になります。例えば、その原因が放火だったら犯人逮捕して罪を問うのは当然ですが、それは消火してからの事。燃え盛っている時に、消火せずに犯人逮捕に向けて走り出すのは、順番が違います。
● 公的資金注入は時間との勝負です。このままズルズルと行けば、資金繰りに行き詰まっての黒字倒産が出てくると思います。現状では、こういった犠牲者が出るまで分かってもらえないのかもしれません。
● 日本が生まれ変わるには、ある程度のショック療法が必要なのかもしれません。これには、私も個人的に賛成する部分が多々あります。ただ、その為に犠牲者が続出するような状態を招くのは、やはりリーダーシップとしては失格だとも思います。そういうリーダーを選んだのは国民です。現在の選挙では、まじめに税金を納めている層の発言力が、あまりにも少なすぎると思います。税金を払いもせずに助成金ばかりを受けている層の発言力が強いなんて、誰が考えてもおかしい状態。そろそろサラリーマンが立ち上がっても良いと思うし、その前に、自分で自分の身を守ることを、もっと真剣に考える必要があるでしょう。
● 株式市場にとっては、まだしばらく"地雷"銘柄に神経質な地合いが続かざるを得ないと考えています。全体が上がるのは、その先の事で、それまでは自立できる企業のみを物色する流れが続くと考えています。ヘッジファンド絡みの混乱から、外国人売りで急落したソニー(6758)、ローム(6963)、そして本田技研(7267)などが、そういった観点で見直されるのは、そう遠くないと考えています。
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