虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary
NTT DoCoMo 雑感
執筆日 : 1998/10/12
| きょう、NTT DoCoMo(9437)の公募・売出価格が390万円に決まりました。この値段を高いと見るか安いと見るかについては、色々とレポートもあるのでそちらにまかせる事にしたいと思います。かつてのNTT本体の上場やJR東日本上場などと比較しつつ、個人的に今回の大型上場について感じることを、まとまりなくダラダラと書いてみたいと思います(^_^;)。上場予定日は10月22日です。 |
● きょう、NTT DoCoMo(9437)の売出価格が390万円に決まりました。この値段を個人投資家としてどう考えるかについては、議論百出かと思います。理論的に見て割安かどうかは別にして、個人的には400万円もの資金があれば、今のデフレ状況においては、株式市場には突っ込まないかな、と思います。もちろん、資産がある方々は違った感触を持っていると思いますが、私のレベルでは、せいぜい100万円までが"投資"という行為に可能な額だと思います。まぁ、これについては議論しても仕方ないので、きょうはもう少し機関投資家側から見たNTT DoCoMoについて考えてみたいと思います。
● NTT DoCoMoの発行済み株式数は、上場時点で191万5200株あります。これは、既存の158万8200株に加えて、今回の上場時に32万7000株の公募増資を行うからです。機関投資家の運用にとって、投資するかどうかを決定する最も大事な要素の一つが、当該銘柄の時価総額があります。
● 多くの機関投資家の資金は、TOPIXなどの株価指数をベンチマークとして運用され、この指数を上回る成績を挙げることが出来るかどうかで、ファンドマネージャーの腕、運用会社の成績が決まります。極端な話、TOPIXが半分になっても、自分のファンドが45%減であれば、ある意味では"勝ち"ということになります。そのため、指数を動かす可能性のある銘柄、そして指数に影響度の大きな銘柄に注目が集まるのです。これまでは、東証1部時価総額第1位のトヨタ自動車(7203)、そして第2位のNTT(9432)などが、その意味で大きな注目を集めてきたのです。
● NTT DoCoMoの場合はどうでしょうか?時価総額は大きいの?これでかなりの機関投資家の"興味"が決まってしまうのです。これまでも言われているように、実はNTT DoCoMoは巨大な株です。何とこの390万円という公募・売出価格で計算すると、NTT本体の時価総額を上回るような巨大銘柄が、何の前触れも無く東証1部に上場するのです。今回の場合、個人投資家よりも機関投資家の方が「ザワザワ」としている理由はここにあります。
● 時価総額は、「株価×発行済み株式数」で計算できます。NTT DoCoMoはまだ上場前ですから、厳密には時価がありません。きょう決まった390万円という公募・売り出し価格を、仮の"時価"ということにして計算してみましょう。発行済み株式数は上記の通り191万5200株あります。すると、
390万円 × 191万5200株 = 7兆4690億円
ということになります。
● きょう(10月12日)の東証1部時価総額は248兆8814億円と発表されていますので、これと上記のNTT DoCoMoの時価総額から、NTT DoCoMoのマーケットウェイトを計算してみると、以下の通りとなります。
7兆4690億円 ÷ (248兆8814億円 + 7兆4690億円) × 100 = 3.0010%
と、ほぼ3%のマーケットウェイトを持つことになります。実はこれはすごい事なんです!
● 東証1部で最もマーケットウェイトの大きな銘柄(最も時価総額の大きな銘柄)は、上記の通りトヨタ自動車で、約4.6%のウェイトがあります。NTTは第2位で約2.2%程度。つまり、NTT DoCoMoは親会社のNTTの時価総額を上回るほどのマーケットウェイトを持つことになるのです。これまでも、少しずつウェイトを上げて上位に食い込んできた銘柄はありました。たとえば、現在のウェイト上位には本田技研、ソニー、松下などがありますが、以前は銀行株ばかりでした。銀行株が下落し、逆にこれらの国際優良株が値を上げた事で、順位は大きく変わったのです。ところが、突然、一気に時価総額ランキング第2位銘柄が登場するなんて、本当にそうそうは起らない出来事です。多分、親会社のNTT本体が上場した時以来だと思います。
注意 : NTTの場合、日経新聞に出ている時価総額は、政府保有分を含んだ数字です。運用の現場では、政府保有分を除いてマーケットウェイトを計算するのが通常の考え方で、ここでもそうしています。
● マーケットウェイト3%のイメージが掴みにくいですか?では、もう少し比較を進めていきましょう。東証は、東証1部銘柄を33業種に分類しています。業種別のウェイトというのも、機関投資家の運用の世界では良く使われる数字ですが、3%のウェイトは、これまでの通信全体のウェイト2.72%(前週末時点)をも上回るのです。NTT DoCoMo(約3%)が加わることで、通信のウェイトは一気に倍増。仮に通信のウェイトが5.5%になったとしたら(少し控え目に)、規模的には小売り(5.31%)、陸運(5.18%)、化学(5.15%)を上回り、医薬品(4.71%)をも上回る事になるのです。単一銘柄が、これほどの影響を与えてしまうのです。小売りといえば、ダイエーなどのスーパーから、高島屋、三越などの百貨店、セブンイレブンなどのコンビニなど、すべての小売りを含むのです。そう考えてみると、すごい出来事というイメージが少し分かっていただけると思います。
● NTT本体の上場時を思い起こせば、あの頃は、こういったマーケットウェイトがどうのこうのという見方は、あったのでしょうけど、マーケット全体に浸透することはありませんでした。今だから書けるのですが、当時は「政府が支える」とか「四大証券が意地でも支える」とかの要素の方が大きくて、キャップウェイトがどうのこうのという事を考える事は、ほとんどありませんでした(^_^;)。さらに、一番最初のNTTの放出の時は、個人営業体が活動の中心でしたし、その後の政府放出においても、今だから書ける"管理相場"状態でした。部店毎にNTT株を買い増しになるように毎時間集計し、NTTの売り注文は、買い注文を取って来るまでHOLD状態。法人ではさすがにそこまでえげつなくはなかったのですが、それでも「大手証券が何とかする…」というような"怪しげ"な情報とも呼べないような思惑話が中心だったような気がします。低レベルでした…。
● JR東日本(9020)の時も似たり寄ったり。あの時は、多少はマーケットウェイトの考え方が広がっていたとは思いますが、それでも時価総額は決してそんなに大きくは無かったのです。ただ、同じ陸運という業種の中で、JR東日本などを購入するために、他の私鉄を売るという行為はかなり見受けられたと覚えています。
● 今回のNTT DoCoMoでは、相場環境が大きく違っている事、大手証券に以前のようなマーケットコントロールの力が無くなったこと (これ自体は好ましい)、公共株ではありながら一私企業株の売り出しであること、そして年金資金というプルーデントマンルールに縛られる投資家層が市場占有率を大きく伸ばしたこと、などから、以前の政府放出株などとは少し違った様相を感じています。そして、これからも少し違った動きを予想しています。
● 時価総額の大きな銘柄を持たない恐怖、さらに持たない事で指数に負ける恐怖と言い訳の苦しさ、成長株と言われてしまえば、何となく納得してしまいそうな業種、これらを良く考えると、意外な展開もあり得ます。個人的には、年金資金がどの程度初っ端でNTT DoCoMoを組み入れるのかどうかを見抜く事が出来れば、上場後のNTT DoCoMo株の動きも読めると思います。失敗を恐れずに言ってしまえば、当初はやはりアンダーウェイト気味になると思います。という事は、上場後3週間程度は意外に堅調かもしれません。
● なお、NTT DoCoMoがTOPIXに算入されるのは、上場当日の終値をもって、翌日からです。指数に完全連動することを目指すのならば、上場当日の終値で買うのがベスト。ただ、JR東日本の時に、一瞬値が付いただけで売買が出来なくなったことなどを考えると、やはりこれは危険ですね。上場予定は10月22日。保有していようがいまいが、どうしても目が離せません。
● ちなみに、NTT DoCoMoを買うために必要な資金は、市場全体で約2兆円強。どこからその資金を調達するかって?他の銘柄を売るのです!この動きはすでに始まっており、その影響は昨今の相場急落の遠因になっていると考えています。皆様のご意見はいかがですか?
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