虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary
新TOPIXインデックス(2) - 指数の特性について詳細分析!
執筆日 : 1998/07/11
| 前回は、東京証券取引所の新TOPIX指数について、簡単にご説明しました。今回は、もう少し詳細に新指数の内容について分析してみたいと思います。なお、分析には東証から提供されたデータとBarraモデルを使用致しました。東証からのデータは、著作権などの問題からここに掲載することが出来ません。このページの下にリンクを付けておきましたので、各自でチェックしてくださいネ! |
● 指数を分析する際には、本当に色々な方法があります。今回は、感情をなるべく押さえて(^_^;)、公平な分析を行うべく、機関投資家の間では広く使われているBarraモデルというマルチファクターモデルを中心に、各指数の内容を分析してみたいと思います。
● まずは復習から。新TOPIX指数は、6つの指数に分類されています(下表参照)。TOPIX 100 と TOPIX 500は、2つの指数の合成ですから、基本は4つの指数ということになります。
| 指数名 | 指数に含まれる銘柄の基準 | 時価総額 構成比 |
| TOPIX Core30 | 時価総額、流動性の特に高い30銘柄 | 36.37% |
| TOPIX Large70 | Core30に次いで時価総額、流動性の高い70銘柄 | 23.74% |
| TOPIX 100 | Core30 と Large70 の合計 | 60.11% |
| TOPIX Mid400 | TOPIX100に次いで時価総額、流動性の高い400銘柄 | 30.48% |
| TOPIX 500 | TOPIX100 と TOPIX400 の合計 | 90.59% |
| TOPIX Small | TOPIX構成銘柄のうち、TOPIX500構成銘柄以外 | 9.41% |
| TOPIX (既存) | 東証1部上場全銘柄(算出対象外銘柄を除く) | 100.00% |
* 時価総額構成比は東証1部全時価総額に対する比率で、98年1月末時点(東証資料による)。
* 指数算出対象外銘柄は、毎年7月末時点において、東証上場後6ヶ月未満の銘柄など。
* 指数構成銘柄の見直しは、年1回(毎年9月)。
● これらの指数のうち、TOPIX Core30、TOPIX Mid400、TOPIX SmallとTOPIXとの相関を簡単に調べてみました。データは98年4月1日から7月6日の日次データ終値を使用しています。かなり動きに差があることが分かります。さらにそのばらつきについても、予想通りSmallがかなりばらつく傾向のあることが分かります。
● 他にも色々なデータの検証方法はあるのですが、今回のこの文章では、Barraモデルによるマルチファクター分析を中心に進めて行きたいと考えております。では早速・・・・(^O^)。まず、東証から入手した各構成銘柄のデータや時価総額分布を基に、Barraモデルで基本的な数字をチェックしてみました。下記がそれです。
| 指数名 | トラッキング エラー |
トータル リスク |
システマティック リスク |
ベータ値 | 決定係数 | レジデュアル リスク |
| TOPIX Core30 | 8.26 | 19.55 | 17.72 | 0.98 | 0.822 | 8.25 |
| TOPIX Large70 | 3.49 | 18.39 | 18.06 | 1.00 | 0.964 | 3.49 |
| TOPIX 100 | 5.08 | 18.56 | 17.86 | 0.98 | 0.925 | 5.07 |
| TOPIX Mid400 | 5.38 | 18.69 | 17.90 | 0.99 | 0.917 | 5.38 |
| TOPIX 500 | 1.61 | 17.94 | 17.87 | 0.98 | 0.992 | 1.58 |
| TOPIX Small | 16.07 | 26.45 | 21.23 | 1.17 | 0.644 | 15.77 |
* Barraモデルの基礎データは1998年5月末時点のものを使用。
● 一見して分かるのが、トラッキング・エラーの差です。TOPIX500になると、かなり安定することが分かります。TOPIX連動型のパッシブファンドならば、トラッキング・エラーは0.5以下に押さえるのが通常です。これを考えると、パッシブファンドとは行きませんが、かなりインデックスに連動する可能性が強いファンドと見ることができます。決定係数の0.992も、それを十分に示唆しています。
● Core30については、時価総額構成的には大きな部分を占めるのですが、銘柄分散が少ない(わずか30銘柄では分散とは言えない(^_^;)事の弊害が強く出ている感じがします。決定係数もそれほど大きくありませんし、トラッキング・エラーはかなり大きくなっています。ただ、都銀株をかなり多く含んでいる割には、ベータ値が0.98というのは興味深い現象です。ハイテク優良株もかなり入っているので、相場下落の際には、意外に指数とは違った動きをして、銀行株などの高ベータを打ち消している可能性が考えられます。
● Large70については、少し意外感がある結果が出ています。TOPIX100は単純にCore30とLarge70を足した指数ですが、それよりもLarge70の方が、トラッキング・エラーも少ないし、決定係数も高く、レジデュアル・リスクも低くなっています。つまり、TOPIXに連動させたいけれども、銘柄数を多く持てないという場合、意外にもCore30よりもTOPIX100よりも、Large70を持っている方が連動しやすいという数値が出ています。これは少し意外でした。TOPIXという指数が時価総額加重型なので、単純に考えると時価総額の大きな銘柄は外せないはずですが、数値的には「それはちょっと違うよ」という結果です。不思議な感じもしますけど、昨今の銀行株の動きを考えると、多少納得出来るような気もします。
● 一方で、予想通りSmallのトラッキング・エラーの大きさはかなりのものです。ベータ値や決定係数、そしてレジデュアル・リスクなど、全ての数値がこのセクターへの投資の困難さを示唆しています。もっとも、もう一つ上の表の時価総額構成比でSmallはわずか9.41%しかありません。機関投資家、特に年金資金などの運用を考えた場合、この部分に関しては、個別銘柄に投資するのは、リスクや流動性を考えた場合、コスト的に見合いません。できれば、先物などの派生商品を利用したい(あればという話ですが)というのが本音だと思います。
● 次いで、各指数のBarraモデルにおけるファクター分析をしてみました。
| ファクター/指数名 | TOPIX Core30 |
TOPIX Large70 |
TOPIX 100 |
TOPIX Mid400 |
TOPIX 500 |
TOPIX Small |
TOPIX (既存) |
| 市場反応度 | 0.24 | -0.03 | 0.13 | -0.21 | 0.01 | 0.04 | 0.01 |
| 企業規模 | 1.17 | 0.13 | 0.76 | -0.82 | 0.22 | -2.21 | -0.00 |
| 株価相対企業価値 | -0.16 | -0.07 | -0.13 | 0.16 | -0.03 | 0.33 | 0.00 |
| 売買活況度 | -0.02 | 0.34 | 0.13 | -0.12 | 0.04 | -0.47 | -0.01 |
| 投資成果 | 0.42 | 0.06 | 0.28 | -0.28 | 0.08 | -1.06 | -0.02 |
| 金利感応度 | 0.06 | 0.07 | 0.06 | -0.04 | 0.03 | -0.23 | 0.00 |
| 銘柄固有変動性 | -0.29 | -0.02 | -0.19 | 0.14 | -0.08 | 0.74 | 0.00 |
| 財務レバレッジ | -0.02 | -0.03 | -0.03 | 0.01 | -0.01 | 0.12 | 0.01 |
| 企業成長度 | 0.24 | 0.11 | 0.19 | -0.25 | 0.04 | -0.53 | -0.00 |
| 海外経済感応度 | 0.38 | -0.11 | 0.19 | -0.18 | 0.06 | -0.57 | -0.00 |
| 東証2部組入度 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
| 東証外組入度 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
* Barraモデルの基礎データは1998年5月末時点のものを使用。
● この表だけを見て、何がどうなっているかをすぐに見抜くのは難しいですが、「やっぱり!」という感じの結果になっています。例えば企業規模で見れば、Core30はぶっ飛び状態の数字ですし、Smallは逆にぶっ飛び状態。これは当然と言えば当然の結果ですね。一方、"株価相対企業価値"というファクターは、"バリュー"として知られています。意外にCore30などはマイナス値(都銀のマイナス影響が大きいと思われる)となっている反面、Mid400あたりにかなりのバリュエーションがあることが分かります。
● 投資成果というのも分かり難いファクターですが、これは「昨年上昇(下落)した銘柄が、今年も上昇(下落)しているかどうか」というファクターで、そうであればプラスの数値が出てきます。つまり、上がり続けているか下がり続けているかすれば、プラスに振れるのです。ここではCore30はかなり高い数値が出ています。考えてみればこれは当然で、都銀株は下がり続け、ソニーなどの国際優良株系は上がり続けているという訳です。投資成果がこれだけプラスに出てくると、データ上は、長期の逆張りは自殺行為と考えられます。つまりトレンドフォロー型の方が成績が良くなる事を示唆している訳です。
● 海外経済感応度は為替などの影響について示唆するファクターです。非常に単純化して言ってしまえば、円安になって株価が上昇するのならばプラス、逆はマイナスという訳です。Core30には国際優良株が多く、その多くは輸出型です。当然、海外経済感応度が大きくプラスに出てくる訳です。逆にSmallでは、このファクターがかなりマイナスに出ています。このファクターには、為替だけでなく、原油価格なども含まれているはずですので、それらの悪影響があるのかもしれません。
● Barraの各種数字の意味を見抜き、理解するには、やはり多少の"訓練"が必要です。ここではそれまで説明する場所がありませんし、私もそんなにエキスパートという訳ではありません。ただ、この"訓練"は機関投資家、特に年金資金などを運用するファンド・マネージャーやポートフォリオ・マネージャーには欠かせないものです。専門書店には、機関投資家向けのこういった本がありますので、もし興味をお持ちでしたら、覗いて見てください。この世界は奥が深いです(^O^)。
● なお、この"日記帳"に関連するホームページの一覧を載せておきます。各自でチェックしてくださいネ!
| 東証株価指数について | TOPIX新指数の要綱 | TOPIX新指数終値 | 東証ホームページ | Barraホームページ |
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