虎年の獅子座 日記帳
Tora-Doshi'no Shishiza's Diary


徴税公正化の観点から見た消費税引上げ/所得税減税 執筆日 : 1998/06/13


参議院選挙が7月に迫っています。私は税金の専門家ではありませんが、それでも普段感じている徴税公平化という観点から、消費税引上げ/所得税減税について書いてみたいと思います。私は、個人的には消費税引上げ/所得税減税のパッケージには大賛成です。所得税減税をやるならば、消費税は別に10%でも良いと思っています。景気に与える影響などはとりあえず横に置いておいて、今回は徴税公正化という観点にだけ絞って書きたいと思います。

● 現在の景気低迷については、昨年の消費税引上げが大きな要因として指摘されています。もちろん、消費税引上げの影響がなかったとは言いませんが、消費税引上げだけが原因視されるのは、やや片手落ちの議論だとも思います。消費税引上げとともに、もっと大胆な恒久的な所得税減税を実施すべきだったのです。特に累進がきつくなる高額所得者層については、上限の引き下げという措置も必要だったし、現在でも必要だと考えています。

● こうやって書けば、すぐに「金持ち優遇、弱者切り捨て」と神経質に反論する方々がいます。しかし、徴税公正化という点から見た場合、消費税というのが非常に公正な税徴収の仕組みなんですよネ。税徴収のシステム設計と"弱者救済"に努力することは、完全に別問題です。まず徴税システムを公正化し、その後、弱者救済が必要ならば、そのための措置を取るというのが、本来の道筋だと思います。"消費税引上げ=弱者切り捨て"という論点は、理論のすり替えでしかありません。

● 現在の税体系では、脱税しやすい層とそうでない層が非常に明確に分類されています。脱税しにくい層は、圧倒的にまじめに税金を収めているサラリーマンを中心とする労働層です。一方、脱税しやすい層には、アングラマネーが相当量含まれているのは間違いありません。アングラマネー?つまり何らかの形で犯罪に加担していたり、犯罪行為から得られた資金のことです。こういった層は、収入そのものが違法である可能性が強く、当然、申告など一切しません。こういった層から、現在の税体系で徴税することは、ほとんど不可能となっています。これらのマネーの総金額がいくらになっているかなんて想像もつきません。しかし、まじめに働いている労働層からはほぼパーフェクトに徴税し、アングラマネーからはほとんど徴税しない。この不公平感は、現在の政治不信、官僚不信の大きな根本要因になっていると思います。

● では、どうやってアングラマネーから徴税するか?消費税が一つの道です。彼らも生活している限り、食料品を買い、車を運転し、旅行にも行くのです。その際に、取りっぱぐれなく徴税するシステムは、まんべんなく消費税を掛けてやれば良いのです。税率は10%でも15%でも、別に25%でもOKです。高ければ高いほど、彼らの払う"税金"は水脹れします。某政党などが主張している「食料品には消費税を付けない」という政策は、まったくもって笑止千万。一番喜んでいるのは、税金を払わないアングラマネーではないでしょうか。主婦層の人気取りでそういった政策を打ち出しているのはミエミエですが、私は主婦層がそれほど馬鹿だとは思えないのです。しかも、そうすれば票が取れるというのは、国民の中で選挙に参加している割合が低すぎるからというのは、改めて言うまでもないでしょう。

● 消費税を大幅に引き上げるだけでは、もちろん片手落ちです。一方で、所得税をドンと減税すれば良いのです。特に累進のきつさを緩和すべきです。努力して働いた人が、収入面で報われるのは当然です。これまで圧倒的にまじめに税金を収めているサラリーマンを中心とする労働層については、税金全てを合計した支払い総額が増えないようにすれば、家計を圧迫する事はありません。これまで徴税できなかった層から消費税という形で徴税できる事を考えると、所得税減税の額は、消費税引上げ分より大きくすることが可能だと思います。このトレードオフを、真面目に真剣に国民に説明すれば、腹黒い人間以外は賛成するのではないでしょうか?

● 当然、これまでほとんど税金を支払ってなかった層は猛反対するでしょうね。しかし、激しく反対する層というのは、これまで国民として負うべき義務を他人に転嫁して"ただ乗り"していた層として自ら認める事になります。この関係が明確にされた時、日本の税体系は大きく変わるでしょうし、税金を払うということがどういった事なのかをもっと認識するようになると思います。

● アングラマネーだけではなく、日本では税金をほとんど支払っていない層が多すぎます。この是正がないと、本当に労働者層は馬鹿らしくなってしまい、働かなくなります。生活保護を受けながら昼間からパチンコしている人などを見ると、システムがまともに機能していないのが良く分かります。それが政府は本当に分かっているのかどうか・・・・。政治家の多くも、実はこの"税金をほとんど支払っていない層"に入ってしまうので、なかなか話が前に進みません。でも、これだけ経済が悪化し、戦後日本の歪みが拡大している時だからこそ、こういった大きな変化が求められると考えています。平等に見えて実は非常に不平等。日本の税体系はまさにその通りだと思います。

● それでは生活保護を受けている層や年金生活者についてはどうするか?当然、消費税を引き上げれば購買力は低下します。しかし、税徴収システムの公正化と弱者保護は切り離して考えるべき問題です。この二つを一緒に考えるから、物事がややこしくなるのです。消費税を大きく引き上げたために購買力・生活力が落ちるのは当然です。また、それを補填するシステムを同時に稼動させるのも、これまた当然のことです。この二つは同時のタイミングで実施されるべきですが、だからと言って、消費税引上げが悪いという論点にはならないのです。

● 特殊な層に脱税を"認めている"現在のシステムを続ける事の方が、はるかに悪影響が大きいのです。福祉に回すべき資金が脱税などで抜け落ちてしまうのが現状です。ならば、消費税を大幅に引き上げることで、これまで税金をほとんど支払ってなかった特殊な層の方々に税金を払ってもらい、今後の福祉をファイナンスしてもらおうではありませんか!これまで税金をまともに払ってなかった層から徴税し、それを福祉に回す。これまで真面目に税金を支払ってきた層としては、文句があるはずがありません。

● 最後に一言。繰り返しになりますが、私は消費税引上げ大賛成ですが、大きな条件がつきます。それは、同時に所得税恒久減税と累進課税緩和を実施する事です。同時に弱者救済を考える方策も必要だとは思いますが、根本的には別問題です。これを真面目に真っ正面から国民に説明できるリーダーシップがあれば、日本のシステムは大きく変わると思います。それがないから、政治不信/官僚不信に陥り、圧倒的多数の国民は選挙にすら行かなくなってしまうのです。2000年という節目を向かえるにあたって、大きく現状が変化することを心から願っています。

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